播磨科学公園都市の中心、大型放射光施設(SPring-8)は世界最高性能の放射光を利用する大きな施設であり、未知の粒子探索から科学捜査まで幅広い分野で優れた研究成果をあげている。また産業界での利用も活発で、研究成果をもとに商品化された例も多くある。
この地は変斑糲岩(深成岩の一種)の強固な岩盤でできており、高度な安定性を要する放射光施設には最適の場所である。平成2年(1990)、西播磨の岩盤上に世界一の放射光施設を築くことが認められた。究極の安定性を確保すべく、多くの対策が施される造成工事は困難を極め、7年の歳月をかけて建設された。精密な加速器が入る円形の建物は、振動や変形が影響し合わない構造になっている。これと並行してアンジェレータやビームラインの開発もすすめられ、ついに平成9年(1997)から10本のビームラインで供用が開始された。ここにSPring-8の歴史が幕を開けた。
他方、佐用地域の大撫山山頂に広がる西はりま天文台公園には、公開用として世界最大級の口径2mもある“なゆた望遠鏡”を備えた天文台がある。
これら二つの施設が同じ町に存在することから、佐用町は極小のものから最遠のものまで観察し、知ることができる特色ある町として有名になった。
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